マイセンとはどんな窯?双剣マークと代表シリーズを知る

MEISSEN

前回は、中国・景徳鎮の白磁への憧れから、ヨーロッパで硬質磁器が生まれ、1710年にマイセン磁器製作所が誕生するまでを見てきました。

では、実際に「マイセンらしさ」とは何なのでしょうか。

華やかな花絵。
青一色で描かれたブルーオニオン。
真っ白なレリーフ。
そして、器の裏に描かれた2本の剣。

今回は、マイセンを見たときに知っておきたい、

双剣マークと代表的なシリーズ

を中心に見ていきたいと思います。


目次

マイセンは「ヨーロッパ最初の硬質磁器窯」だけではない

マイセンは1710年に設立されました。

しかし、その価値は単に「ヨーロッパで最初だった」というだけではありません。

磁器そのものを作れるようになった後、今度は、

どんな絵を描くか。
どんな形にするか。
ヨーロッパ独自の磁器文化をどう作るか。

という次の段階へ進んでいきました。

18世紀には東アジアの磁器から強い影響を受けながら、次第にヨーロッパ独自の装飾を発展させていきます。マイセン公式史では、1720年代から東アジアを意識した意匠が数多く作られ、絵付師ヨハン・グレゴリウス・ヘロルトのもとで色彩豊かな絵付け技法も大きく発展したとされています。 マイセン

meissen

画像はイメージ画像です。実際のマイセンの商品でありません。

 


マイセンといえば「双剣マーク」

マイセンの器を裏返すと、2本の剣を交差させたマークを見ることがあります。

これが有名な双剣マーク(Crossed Swords)です。

マイセンによれば、このマークが採用されたのは1722年

ザクセン選帝侯の紋章に由来する交差した剣が、本物のマイセン磁器を識別するための印として使われるようになりました。 マイセン

磁器製造の技術がヨーロッパ各地へ広がり始めれば、

「これは本当にマイセンなのか?」

という問題が出てきます。

そこで双剣マークが重要になったわけです。

現在まで使われ続けている、非常に歴史の長い商標でもあります。 


双剣マークは全部同じではない

アンティーク好きにとって面白いのはここです。

一見同じ双剣でも、

  • 剣の長さ
  • 柄の形
  • 交差する位置
  • 線の太さ
  • 点や線などの追加記号

などに時代による違いがあります。

そのためバックスタンプは、

製造年代を推定する手掛かり

になります。

ただし、

双剣がある=必ず本物

という意味ではありません。

V&Aも、マイセンの双剣を含む有名な陶磁器マークは模倣された例があると説明しています。 Victoria and Albert Museum

ですから真贋を見るときは、

バックスタンプだけでなく、素地・絵付け・形・製法なども合わせて見る

必要があります。

バックスタンプ


こちらに詳しく解説されています。

Table LABO – テーブルラボ.


代表的なシリーズ① ブルーオニオン

マイセンを代表する柄として、まず外せないのがブルーオニオンです。

白い磁器にコバルトブルーで描かれた、非常に有名な絵柄です。

ところが面白いことに、

実は“タマネギ”が描かれているわけではありません。

マイセン公式によれば、ブルーオニオンは東アジアの磁器装飾から着想を得たもので、描かれているのは桃やメロン、竹、菊などをもとにした意匠です。ヨーロッパ側でその図柄がタマネギのように見えたことから、「オニオンパターン」と呼ばれるようになりました。 マイン

この話だけでも、食器を見る楽しみが少し変わります。

「ブルーオニオン」という名前を見て、

タマネギ柄なんだな

と思っていたら、実はそうではない。

洋食器には、こんな歴史的な勘違いや呼び名がそのまま残っていることがあります。


 

 

 


ブルーオニオンは今も作られている

ブルーオニオンは過去のアンティークだけではありません。

マイセンでは現在も伝統的なブルーオニオンを扱いながら、現代的に再構成したシリーズも展開しています。公式サイトでは「The Original」や「Noble Blue」など、歴史的モチーフを現代的なテーブルウェアへ展開したコレクションも確認できます。 マイセン

ここが、マイセンの面白いところだと思います。

300年前の柄を、そのまま博物館の中だけに閉じ込めていない。

今の食卓でも使える形に変えながら残しているのです。


代表的なシリーズ② 波の戯れ

マイセンというと、華やかな絵付けを思い浮かべる方も多いでしょう。

しかし、真っ白な磁器そのものを楽しむシリーズもあります。

その代表的な一つが、一般に日本では「波の戯れ」として知られている「Waves」です。

1990年代にデザイナーのザビーネ・ヴァックスのもとで開発され、1996年に発表されました。波の動きを思わせる曲線やレリーフを使い、歴史的なマイセンの造形を現代的に再解釈したシリーズです。 マイセン

これは非常に面白い存在です。

ブルーオニオンが、

「絵柄でマイセンを楽しむ磁器」

だとすれば、

波の戯れは、

「白磁そのものの形と陰影を楽しむ磁器」

と言えそうです。


 


代表的な装飾③ 花の絵付け

マイセンには、花を描いた作品も数多くあります。

18世紀以降、絵付け技術が発達する中で植物や花、動物、風景などさまざまな意匠が生まれました。マイセン公式では、現在も約300色が通常の絵付けに使われ、工房にはおよそ1万もの色レシピが保存されていると説明されています。 マイセン

同じ「花柄」と言っても、

一輪の花を静かに描いたもの。

複数の花を束ねたもの。

器全体に華やかに描いたもの。

など表情がまったく違います。

ここから先は、

「どのシリーズが好きか」

という楽しみへ入っていきます。


マイセンを買うなら、まず何を見る?

初めてマイセンを探すと、種類が多すぎて迷います。

私は、最初はブランド名だけで選ぶより、

1.絵付けが好きか

ブルーオニオンや花絵など。

2.白磁そのものが好きか

波の戯れなど。

3.飾るのか、実際に使うのか

カップ&ソーサーなのか、プレートなのか。

4.現行品か、ヴィンテージか

このあたりから考えると分かりやすいと思います。


アンティークを見るならバックスタンプも楽しむ

現行品だけでなく、古いマイセンを見る場合は、ぜひ底面も見たいところです。

マイセンの双剣マークは長い歴史の中で少しずつ変化しているため、

「このマークはいつ頃なんだろう?」

という楽しみがあります。

現在なら、そのバックスタンプをスマートフォンで撮ってAIに見せ、

この双剣マークは、どの年代のマイセンに近いですか?
断定せず、候補となる年代と確認ポイントを教えてください。

と聞くこともできます。

ただしAIの判定だけで購入価格や真贋を決めない。

最後は信頼できる資料や専門家の判断と照らし合わせます。


マイセンは「古いブランド」で終わっていない

1710年に始まったマイセンですが、現在も新しいデザインを作り続けています。

18世紀から続くブルーオニオン。

19世紀、20世紀を経て受け継がれた花絵。

1996年に登場した波の戯れ。

さらに現在では、歴史的モチーフを現代的に再構成したシリーズもあります。 マイセン

ですからマイセンを見るときは、

「昔の高級食器」

とだけ考えると少しもったいないと思います。

長い歴史を持ちながら、今も変化し続けている磁器製作所。

そう考えると、また見え方が変わってきます。

 

この記事を書いた人

還暦を過ぎてから、AIやスマホを日々の暮らしに取り入れるようになりました。
分からないことはAIに聞き、忘れそうなことはスマホに任せながら、毎日を少し便利に、少し心地よく楽しんでいます。
昔から洋食器やアンティークが好きで、マイセンやヘレンド、英国陶磁器、北欧食器、銀器などの歴史やバックスタンプ、ホールマークを調べることも楽しみのひとつです。
そして、もうひとつ長く楽しんでいるのがウイスキー。
蒸留所や産地、製法、ボトルに込められた歴史を知ると、同じ一杯でも味わい方が変わってきます。
このブログでは、AIを活用しながら、洋食器やウイスキーの歴史や背景を調べたり、日常生活で役立つスマホやAIの使い方を紹介しています。
新しい技術を使って、昔から好きだったものをもっと深く楽しむ。
そんな還暦からの暮らしを、自分自身も学びながら記録しています。

目次