AIを使うようになってから、「自動でやってくれる」というものがずいぶん増えました。
文章を作ってくれる。
画像を作ってくれる。
予定を整理してくれる。
そして投資の世界では、以前から「自動売買」という仕組みがあります。
私もMT5という取引ソフトを使った自動売買に興味があり、いろいろ試しています。
そんな中、ちょっと気になるニュースを目にしました。
FXの自動売買などに使われているVPSサービスがサイバー攻撃を受けたというニュースです。
今回は少しAIそのものから離れますが、
「便利だから自動化する」
という、これからのAI時代にも共通する話だと思ったので取り上げてみます。
そもそもVPSって何?
VPSという言葉を初めて聞く方も多いと思います。
難しく考える必要はありません。
簡単に言えば、
「インターネット上に置いてある、自分専用に近いパソコン」
のようなものです。
普通なら自宅のパソコンの電源を切れば、そこで動いているソフトも止まります。
ところがVPSなら、自宅のパソコンを切ってもインターネット上のパソコンは24時間動いています。
そのためFXの自動売買では、
「夜中でも売買を続けたい」
「旅行中も動かしておきたい」
といった用途でよく使われています。
GMOのVPSで何が起きたのか
今回問題になったのは、GMOインターネットが提供している「お名前.com デスクトップクラウド」というサービスです。
2026年10月20日、一部のサーバー環境に第三者によって不正なプログラムが設置されていることが確認されました。
その後の調査で、サーバー内に保存されていたFXなどの取引口座のログイン情報が第三者に取得され、不正に利用された可能性があることも分かっています。
影響の可能性があるサーバーは26,739件と発表されています。
ただし、これは26,739件すべてから情報が盗まれたという意味ではありません。
あくまで「影響を受けた可能性があるサーバー数」です。
さらに10月24日の発表では、GMO側が
サービスのシステムにセキュリティ上の問題があり、不正アクセスと情報の持ち出しが確認された
ことを明らかにしています。
利用者からは、身に覚えのない取引が行われたという報告も出ています。
GMOは今回の不正アクセスが原因と認められた不正取引について、実際に発生した損失を補償する方針も発表しました。
VPSでFX自動売買をするのは危険なの?
このニュースを見ると、
「VPSなんて使わない方がいいのでは?」
と思ってしまいます。
私も最初はそう思いました。
しかし少し調べてみると、単純に
VPS=危険
という話ではありません。
自宅のWindowsパソコンだってインターネットにつながっています。
ウイルスに感染する可能性もありますし、パスワードを盗まれる可能性もあります。
しかもFXの自動売買なら、24時間パソコンをつけっぱなしにする必要があります。
停電もあります。
Windows Updateで再起動することもあります。
インターネット回線が切れることもあります。
そう考えると、VPSにはVPSなりのメリットがあります。
問題は「自分のパソコンではない」こと
ただし、今回の件で私が改めて感じたのがここです。
VPSを使うということは、
自分のお金を動かせるソフトを、他社が管理するコンピューターの中で動かしている
ということです。
これは考えてみれば結構重要なことです。
MT4やMT5などのFX取引ソフトには、実際に注文を出せるログイン情報が入っています。
もしその情報を第三者に取得されてしまえば、自分がパソコンの前にいなくても、勝手に注文を出されてしまう可能性があります。
今回、GMOも利用者に対して、MT4・MT5などのパスワード変更だけでなく、ログイン中のセッションを切断するよう呼びかけています。
パスワードを変えるだけでは足りない場合もある
ここも今回初めて知った方が多いのではないでしょうか。
「パスワードが漏れたなら変更すればいい」と思いますよね。
ところが、すでにログインしている状態が残っている場合があります。
これを「セッション」といいます。
少し難しい言葉ですが、
一度入った人が、そのまま部屋の中にいる状態
と考えると分かりやすいでしょう。
玄関の鍵を交換しても、すでに部屋の中に誰かがいたら意味がありません。
そこで、
パスワードを変更する
↓
現在ログインしている接続も全部切る
↓
新しいパスワードで入り直す
という対応が必要になるわけです。
「自動化」は便利だけれど「無人化」とは違う
ここからが、私が今回一番考えたところです。
FX自動売買だけの話ではありません。
これからAIがもっと身近になれば、
メールをAIに任せる。
予定管理をAIに任せる。
買い物をAIに任せる。
投資の一部を自動化する。
こうしたことが増えていくと思います。
便利です。
私自身、便利なものはどんどん使いたいと思っています。
でも、
「自動化したから、もう見なくていい」
とはならないんですね。
自動化とは、
「人間が毎回操作しなくていい」
ということであって、
「人間が確認しなくていい」
という意味ではありません。
これは結構大きな違いだと思います。
FX自動売買なら最低限ここは確認しておきたい
今回の件を見て、私なら少なくとも次のことは確認しておこうと思います。
・FX専用のVPSにする
・VPSでインターネット閲覧などをしない
・FX口座と他のサービスで同じパスワードを使わない
・利用できるなら二段階認証を設定する
・約定通知をスマートフォンで受け取る
・時々、取引履歴を確認する
・EAの最大ロットや最大ポジション数も設定しておく
特に私は、
「取引が成立したらスマートフォンに通知を出す」
という仕組みは重要だと思います。
自動売買だから画面を見る必要はなくても、
「今、売買が行われた」
ことくらいは人間が知っていた方が安心です。
EAに制限を付けても完全ではない
自動売買プログラムのことをEAと呼びます。
EAの中に、
「1回の取引は最大0.1ロット」
「同時に持つポジションは1つまで」
などの安全装置を入れることはできます。
私もEAを作る場合には、こうした制限を付けるようにしています。
ただし今回のようにMT5そのもののログイン情報を盗まれてしまった場合、
攻撃者はEAを使わず、直接注文を出すことも考えられます。
つまり、
EAを安全に作ること
と
MT5やVPSを安全に使うこと
は別の問題なんですね。
自動売買とは別に「相場を見る場所」を持っておく
自動売買をしていると、どうしてもMT5やEAに任せきりになりがちです。
しかし今回のようなことを考えると、
「自動売買を動かす環境」と「自分で相場を確認する環境」を分けておく
のも一つの方法だと思います。
私はチャートを見る用途なら、TradingViewのようなブラウザやスマートフォンから利用できるチャートサービスも便利だと思っています。
VPS上のMT5を開かなくても、スマートフォンや普段使っているパソコンから相場の動きを確認できます。
自動売買だからまったく相場を見ないのではなく、
「今日は大きく動いていないかな?」
「EAは想定外の取引をしていないかな?」
と、ときどき確認する習慣をつけておく。
これだけでも安心感はかなり違います。
TradingViewをまだ使ったことがない方はこちらから確認できます。
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「大手だから絶対安全」でもない
今回一番印象に残ったのはここかもしれません。
GMOのような大きなインターネット企業のサービスでも、サイバー攻撃を完全に防げるわけではありません。
だからといって、
「クラウドは危ない」
「VPSは使わない」
という結論にする必要もないと思います。
銀行だってインターネットバンキングを提供しています。
クレジットカードもネットで使います。
スマートフォンにも重要な情報がたくさん入っています。
便利なサービスを使わないのではなく、
万が一、一つ破られても全部を持っていかれないようにしておく。
これからは、こちらの考え方の方が大切なのかもしれません。
AI時代は「任せる能力」だけでなく「見張る能力」も必要
AIはこれからますます便利になります。
おそらく数年後には、今なら自分でクリックしているような作業までAIが代わりにやってくれるようになるでしょう。
私はそれ自体は歓迎しています。
60歳を過ぎてからAIを使い始めた私にとって、「面倒なことをコンピューターに任せられる」のはとてもありがたいことです。
だからこそ、
何を任せているのか
どこまで権限を渡しているのか
だけは知っておいた方がいいのでしょう。
今回のFX自動売買のニュースも、単なるハッキング事件としてではなく、
「便利な自動化とどう付き合うか」
を考える良いきっかけになりました。
AIもVPSも自動売買も、怖がって使わないのではなく、仕組みを少しだけ理解して、安全に便利さを利用したいものです。
※この記事は2026年10月24日時点でGMOインターネット株式会社が公表している情報をもとに作成しています。調査は継続中のため、今後新しい情報が公表される可能性があります。
AIは文字を打たなくても使えます
「ChatGPTを使ってみたいけれど、文字を打つのが面倒」という方は、スマートフォンの音声入力を試してみてください。
難しい質問の仕方を覚える必要はありません。
普段、人に話しかけるように、
「これってどういう意味?」
「私にも分かるように説明して」
と話すだけでも十分です。
還暦からでも、AIは意外と気軽に使えます。


